求職者支援制度融資はハローワーク提供の求職者支援制度の1つで、職業訓練給付金を受給している人が利用できる貸付制度です。
求職者支援制度を利用することで、職業訓練を受けている無職の人でもお金を借りられます。
求職者支援制度融資は職業訓練給付金では足りない人向けの融資
職業訓練を受けると職業訓練受講給付金を受け取れますが、そのお金だけで生活していくことが難しい場合に求職者支援制度融資からお金を借りられます。
貸付条件の確認などの手続きはハローワークでおこない、実際に貸付けをおこなう手続きはハローワークが指定する労働金庫(ろうきん)で進めることになります。
職業訓練受講給付金は失業保険を受け取れない人向けの給付制度
職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない方の早期就職の実現のために国から支給される、職業訓練中の生活費や就職活動費に使える給付金です。
職業訓練受講給付金は職業訓練受講手当と通所手当の2つから成り立っており、受給できる金額は以下のとおりです。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:上限42,500円
通所手当は自宅から公共職業訓練施設まで通所するために交通機関や自転車を利用した場合に支給されます。
職業訓練受講給付金を受給しているあいだは月10万円と通所手当を受け取りつつ、条件を満たせば求職者支援制度融資による借り入れも可能です。
求職者支援制度融資の給付額は月5万円または10万円
求職者支援制度融資で借りられる金額は、職業訓練の期間や家族の有無によって異なります。
配偶者や子ども、父母と同居または同じ生計で生活している場合には月10万円、それ以外では月5万円を借入できます。
融資を受けられる金額の計算式は以下のとおりです。
月10万円または5万円× 受講予定訓練月数(最大12か月分)
例えば、配偶者がいる人で受講予定訓練月数が12か月の場合、120万円が一括で融資されます。
求職者支援資金融資の利用にはろうきんの口座が必須
求職者支援制度融資でお金を借りる方法は、銀行への振込融資です。
振り込みに利用できる口座はろうきん一択であり、ほかの金融機関の口座は利用できません。
ろうきんに口座がない場合は、受給手続きのときに口座を開設しておきましょう。
求職者支援制度融資を利用するには3つの書類の提出が必要
求職者支援制度融資の申込時に、ろうきんに提出が求められる書類は以下の3つです。
- 本人確認書類
- 求職者支援資金融資要件確認書
- 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた証明書
求職者支援資金融資要件確認書と支給決定を受けた証明書をハローワークで入手し、ハローワーク指定のろうきんに提出すれば求職者支援制度融資の手続きを進めることができます。
求職者支援制度融資が振り込まれるのは1週間から1か月後
ハローワークとろうきんで求職者支援制度融資の受給手続きをしたあと、実際に振り込みがおこなわれるまでのタイミングは1週間から1か月程度です。
求職者支援制度融資の申し込みはハローワークでおこないますが、融資の手続きや審査はろうきんがおこないます。
申込先と借入先の2か所で審査され、返済能力などを慎重に調査されることから融資まで時間がかかりやすいといえるでしょう。
ですので、職業訓練受講給付金と貯金が底をつくまでにお金を借りることができるよう逆算し、早めに申し込みを済ませましょう。
求職者支援制度融資でお金を借りられる条件
求職者支援制度融資を利用するには、以下の2つの条件を満たすことが必要です。
- 職業訓練受講給付金を受給している
- 求職者支援資金融資要件確認書を受け取れる
これらの条件を満たすことで求職者支援制度融資の対象になり、ろうきんで審査を通過した人だけが融資を受けられます。
職業訓練受講給付金を受給している
求職者支援制度融資を受けるなら、まず職業訓練受講給付金の支給決定を受けることが前提です。
職業訓練受講給付金の受給には、以下の要件を満たす必要があります。
- 本人の月収が8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の現金・預金・株式などの金融資産が300万円以下
- いま住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日は必ず出席している
- 世帯に職業訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に不正行為で給付金を受給していない
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金を受給していない
雇用保険の受給資格を持っていない人は、ハローワークの窓口で求職者支援制度の説明を受けて職業訓練に申し込みます。
職業訓練の実施機関でおこなわれる審査面接や筆記試験を通過すると、ハローワークから就職支援計画書を作成してもらえます。
訓練の受講中と修了後3か月は、月1回の指定日にハローワークで職業相談を受け、職業訓練受講給付金の支給申請をすることで受給できます。
求職者支援資金融資要件確認書を受け取れる
求職者支援資金融資要件確認書を交付してもらうには、返済する意思があることをハローワークに認めてもらう必要があります。
申し込み前にハローワークの担当者と面談をする機会があるので、転職後は月給から返済が可能であることや、毎月の支出を差し引いても余剰資金が残ることで、返済に問題がないことを担当者に伝えましょう。
求職者支援資金融資の審査は厳しい傾向にある
求職者支援制度融資を受けるとき、ろうきんの審査基準は公表されていませんが決して甘いものではありません。
ろうきんは信用情報機関であるJICC・CIC・KSCの3か所に加盟しており、これらすべてで借り入れの履歴や延滞の情報を調査できます。
過去の金融事故はもちろん、短期間での多重申し込みや返済遅れの繰り返しなどが見つかると、審査に通るのは難しくなります。
訓練を途中でやめた場合は契約の変更手続きが必要
求職者支援制度融資は職業訓練を受講している人に対して融資する制度です。
求職者支援制度融資を受けている途中で、職業訓練を中断したり辞めたりした場合はろうきんで手続きが必要になります。
訓練を中止した日から1か月以内に契約変更の手続きをおこなって融資を止める必要があり、1か月以内に完了しないと規約違反として債務の一括返済を求められる可能性があります。
求職者支援制度融資の返済方法と金利
求職者支援制度融資は給付金ではなく、あくまで融資であるため返済が必要です。
将来に返済の遅れや返済不能を起こさないよう、返済方法や金利について申し込み前に確認しておきましょう。
求職者支援制度融資の貸付条件は以下のとおりです。
金利 | 年3.0% |
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返済方法 | ろうきんの口座からの自動引き落とし |
返済日 | 毎月末日を約定返済日とする |
返済方法はろうきん口座からの自動引落し
求職者支援制度融資の返済方法は、ろうきん口座からの自動引き落としで、毎月の返済日は貸付日の翌月末以降の毎月末日です。
返済額は訓練就業日から3か月までと4か月以降で変わります。
訓練終了月の3か月後の末日までは、元金据え置き期間として利息のみの返済です。
訓練終了月の4か月後の末日以降は利息と元金の両方の返済が必要で、貸付日から起算して5年以内をめどに返済することになります。
ただし、融資額が10万円以上なら返済期間は10年に延長できます。
求職者支援制度融資は返済免除されない
求職者支援制度融資は、あくまでも融資であり返済免除はできません。
決められた返済日に決められた金額を返済する必要があります。
ただし、借りた翌月からすぐ返済が始まるわけではなく、職業訓練を受けている期間中は、元金も利息も返済は不要です。
訓練を終了してから3か月は利息のみの返済となり、転職活動中のお金がかかる時期に返済額を安く抑えられます。
本格的な返済が開始されるのは職業訓練の終了から4か月目以降です。
金融機関より低金利で借り入れできる
求職者支援制度融資の金利は、保証料を含めても年3.0%です。
転職活動前後のお金が少ない時期を乗り切り遅れなく完済するためにも、低金利で借り入れできる求職者支援制度融資を利用できるか優先的に検討してみましょう。